突然決まった東方美人茶&紅茶
物語は4月の製茶実習時に蘇志成茶師からのひとこと
6月に東方美人茶と小葉紅茶を一緒に作りませんか、とのお誘いに突然募集を始めた製茶実習・体験でしたが2名の方が参加してくれました。1年1回農暦端午節前後にしか作られないお茶「椪風茶」、別名「東方美人茶」を作ろうと、坪林に向かいました。青心烏龍や金萱、翠玉などの品種から作られる美人茶ですが、新竹・苗栗で使われている青心大冇とは微妙に違うお茶になります。管理人はこちらのお茶のほうが好きです。
小綠葉蟬の食害にあった茶葉は本来のものより小さくなります。この茶葉を摘み取り、伝統製法によって美人茶になる予定。まずお茶摘みにスタート、坪林に到着したのは9時少し前ですが、気温はすでに30度を大きく超えています。私を入れて3人で自分たちのお茶となるべく茶葉を摘み始めました。通常より小さい茶葉、しかも良いお茶を作りたいと欲張ったため、中でも小さい芽を集中的に狙います。
日差しのあたる場所の気温、41.5度、日陰でも38度の猛暑の中、2時間奮闘してやっとこれだけの茶葉がつめました。ざるに広げて、やっと2枚の極小ですが、この量で果たしてお茶が作れるのか心配です。コンテスト用に茶摘をすると、プロでも1日に3両の茶葉がやっととのことなので、この結果も致し方ないことと自分で自分を慰めます。別に作る茶葉はプロにお願いして茶摘をしてもらっています。
一般的製法を体験するための通常製法も学びます
自分たちの茶葉だけでは心細いので、大量に摘んでくれた茶葉を使って通常の作り方を体験します。方法はまったく同じで、茶葉を薄く広げて日光萎凋。いたってシンプルな方法ですが、太陽が強いときは日陰で萎凋させ、太陽が雲に隠れると外に出して萎凋させます。茶葉が硬くなるくらいを目安として日光萎凋の終了です。とにかく暑い日ほど、おいしいお茶が作れると言われれば、がんばるしかありません。
室内に移した後も、文山包種茶のように2時間おきに攪拌ということはなく、茶葉の硬さを見ながら次の作業を組み立てていきます。揺青機で、全体を満遍なく攪拌し、茶葉の醗酵準備を徐々に進めていきます。
順調だと思ったら、、、ハプニング発生
なぜ、川遊び、、、ではありません。猛暑にもかかわらず、突然の断水です。昼過ぎに突然水道が止まってしまい、貯水槽の水だけが頼りの生活になってしまいました。汗を流すためのシャワーに水を使うと、食事とトイレに困ってしまうので、川で沐浴ということになりました。さすが渓流、冷たい水ですが、今日の暑さから開放され最高の気分になりました。管理人の腕と顔が赤いのはビールの飲みすぎではありません(笑)、昼間の茶摘で日焼けしたからです。
最終醗酵前の大仕事
本日最後の作業が深夜1時より始まりました。採集醗酵をさせるために攪拌作業を延々と30分以上行います。中腰なので越に負担がかかるため、いすを持ち出して作業を始める人もいます。
翌朝は美人茶完成に向けてラストスパート
朝7時から最終作業開始ということで就寝、起床したらこのような霧が立ち込めた朝です。醗酵度合いを見極めて、殺菁作業と「悶」という、蒸らす作業を行います。自分たちで摘んだ茶葉は少量なので、昔ながらの釜炒法で殺菁します。文松茶師の奥様の父親は石碇の美人茶といわれる人。このお宅で殺菁作業を行いました。
殺菁後の茶葉は黒い袋に包み、しばらく蒸らします。殺菁で水分がなくなり硬くなった茶葉を少しやわらかくし、揉捻しやすくするとともに、香りを際立たせる効果があります。揉捻は茶葉の形状を整えるのが目的なので柔らかくやさしく揉捻します。
プロが摘んだ茶葉は殺菁機を使い、揉捻機で袋のままやさしく揉捻します。ここでも「悶」といわれる作業が欠かせません。ビニール袋に入れ、保温します。この時間は経験で決めているようです。ここまでの一連の作業は文山式といえるようで、ほかの地区とは異なります。
出来上がり、そしてテイスティング・・・運命のとき
乾燥機に入れて乾燥を待ちます。出来上がったお茶をテイスティング。手前が自分たちで摘んだお茶、奥がプロが摘んだお茶。良いところだけ摘んだ自分たちのお茶の見栄えは最高です。
右側が自分たちのお茶ですが、水色は良好、甘みも最高ですが、香りがやや物足りない印象を受けました。プロのお茶は香りは最高ですが、甘みが少し足りない印象。ですが、二煎目で印象がさらに良くなりました。自分たちのお茶は醗酵がやや足りなかったため、二煎目で最高の味になり大満足。中央の写真が自分たちのお茶の茶殻、右側のものも良いレベルですが、見た目は自分たちのもののほうがはるかに良いと感じました。
同時に作っているはずの紅茶ですが、、、ちゃんとやってます
紅茶の茶摘はプロに任せて、萎凋作業から開始です。収穫した茶葉をざるに広げ、静置することから萎凋は始まります。今回は好天もあってすごい量の茶葉が集まり、広げる作業も大変なことになっています。茶葉の中にはウンカも混ざっていますが、おいしいお茶に集まるウンカなので、大切に追い払いました。
揉捻、揉捻、そして揉捻。。。すごい量のお茶を作りました
紅茶の基本は揉捻から、24時間静置し、萎凋が進んだ茶葉を順次揉捻をする作業です。昨日に手揉捻をして作ったお茶とは異なり、大量なので機械揉捻で作業を進めます。使う揉捻機は4台で、参加者全員で作業を行いました。今回の茶葉は水仙と翠玉が中心です。翠玉の茶葉は状態もよく、別管理で紅茶にすべく作業が進みます。
美人茶を作るには収穫時間が遅かったため、紅茶になってしまう翠玉種の状態は最高です。揉捻の感じは紅玉種に似ていると感じましたが、徐々に違う性格が登場します。揉捻作業も進み、乾燥機で2回乾燥作業を行い、焙煎器で2時間の最終乾燥を行う予定でしたが、ハプニングが発生。夕食で目を離したときに、手伝いで入った人が翠玉と水仙を混ぜてしまったのです(涙)。
揉捻が一回のものと二回のものでは色が違うのが良くわかりますね。二回揉捻をして、醗酵するのを待つ間、いろいろと試飲をします。これらの作業は美人茶を作る作業と平行して行われているのをお忘れなく。
出来上がったお茶は75斤を超えて・・・しかも美味かった
紅茶は深夜12時過ぎに最終乾燥終了予定、終了後も温度が下がるまで袋詰めできないので、今日は日付が変わる前に終了となりました。今晩はゆっくりと眠ることにします。翌朝は6時過ぎに起床し、最後の袋詰めを行い今回の実習は終了となりました。自分で摘んだ最高級美人茶、プロが摘んだ美人茶、手揉捻の紅茶、機械揉捻の紅茶と4種類の完成したお茶をお土産に終了となりました。参加してくださった皆様、ハプニングはありましたが、おいしいお茶が作れて幸せでしたね。
今回最後のハプニングというか。。。
初日は勢ぞろいしていた蘇家ですが、二日目の早朝に蘇文松一家が坪林郷の行事で外出することになっていました。最終日の月曜日の朝ごはんを、なんとパパが作ってくれました。サツマイモの入った伝統的な台湾式おかゆです。パパの愛情に感謝。もうひとつ、今回の製茶実習・体験で一番食べたフルーツは「愛文芒果」です。アーウィン種のアップルマンゴーですね。ひとつ500g近くある大きなものを朝からデザートとして食べました。なんと今回の滞在中に6個も食べてしまったのです(笑)。もうひとつは今年の春茶コンテストで頭等奨(一)を獲得していたことです。4月22日に作ったお茶なので、春の製茶実習のときにテイスティングしたお茶の中にこのお茶が含まれていたのです。春に参加した人はラッキーですね。管理人は受賞後のお茶もしっかりと飲んできました。いつもながら蘇家の皆様、お世話になりました。