続95文山包種茶製茶記
続、今年の春茶はこうして生まれた
前半の予報をはずしてしまい、その後の天気も回復せぬまま後半へと突入。20数年この時期台湾に滞在していますが、スコール以外の雨に降られることは皆無。いったい地球はどうなっているのでしょうか。衛星写真と天気図を見るとまるで入梅のよう、こんな状態で後半に突入しました。
後半組みは紅茶教室を主宰されているTさんご夫妻と助手をされているSさん夫妻。Tさんは中国茶の勉強もされ「鴻山流泡茶師」の資格も取っています。製茶実習も3回目のベテランです。それぞれ旦那さんは初めての参加となりました。飛行機が到着する予定は午後11時少し前、この日も雷雲が発生し少し到着が遅れて11時過ぎに到着しましたの連絡が携帯に入りました。深夜なので空港まで出迎えの車をチャーターして体制は完璧、ところがゲートを出たのが11時半を少しまわってしまい両替所はクローズしていました。準備の良いSさんの旦那さんが日本で両替をしていたのでチャーター車の料金は間に合いました。みんなにぼろくそに言われていたのに、こんなところで面目躍如でした。ホテルに到着したのは日にちが変わってから、雨とともに現れるでした。
茶摘
翌朝は小雨が降っていました、台湾の友人2名と合流してチャーター車で坪林へ一直線。土曜日ということもあり市内は順調でしたが、石碇管制区より高速一区間にはいるのに大渋滞でした。坪林市内も大渋滞、茶業博物館を過ぎたところからは順調に走り、一路蘇さんの家に向かいます。到着すると家族総出でお出迎え、早速お茶を飲みながら自己紹介と歓談。不思議なことに坪林に入ると雨は次第に上がり茶摘もできそうな状態になりました。茶葉がぬれていますが、乾くのを待つ時間はありません、早速台湾茶摘車(シートがなくいす持参で座ります)で出発。今回は私も初めての場所、正面右奥のダム沿いの茶畑に行くということになりました。
まさに獣道といった道なき道を弟茶師が切り開き、後をついて行きますが横はがけ、足元は降雨の影響でつるつると悪条件がそろってしまいました。茶摘は急斜面に這うように生えている茶葉を摘み取るという芸術技、足元も滑るので手元、足元両方に気配りする必要があります。この畑には青心烏龍種と金萱種が植えてあります、これがあとでとんでもないことになるとは。隣のおじさんや近所の人のの手伝いを得て茶摘は進みます。今回は7人なので5kgの茶葉を作るためには生茶葉を40kg程度摘み取る必要があります。全員で気合を入れて摘み取りを始めました。除草剤や殺虫剤を使わない畑です、雑草を抜きながら通路を作り茶摘をします。幸いなことに天気は回復してきた感じで明るく暑くなってきました。
摘み取った茶葉は雨のしずくが少し残っていますが、なかなかいい状態です。茶葉の生育状態を見ながら少し長めに茎を取るように指示がありました。文山包種茶は少し熟成した茶葉が一番美味しいのです。摘み取ったばかりの茶葉はとてもきれいですね。これからどのような変化をしていくのかすごく楽しみです。
日光萎凋
摘み取った茶葉をもって帰ってくると、そこには待望の薄日がさしてきました。日光萎凋ができる、期待に胸が膨らみます。早速、茶葉をざるに広げて雨水を蒸発させ、茶葉の水分を少しずつとって行きます。今年の3月以降に新しく作った日光萎凋場所、3月はじめの「めざましテレビ」ロケ時には影も形もなかったのに突然出現。この場所のおかげで薄日でも日光萎凋ができます。茶葉はざるに37個、手際よく広げていきます。薄日なので自分の影で茶葉がだめになることはありません、ラッキーなのかな。
日光萎凋の場合は茶葉の状態が秒単位で変化します、表面の雨滴がなくなるとあとはざるに付きっ切り。ひとつずつ状態を確かめながら、日光萎凋を終了させていきます。真剣な眼差しで茶葉をチェックしています
走水
走水のときにおなじみの「ざる振り」、お隣の80歳現役茶師はごらんのように一瞬で真ん中に茶葉が集まります。今回は茶葉に水分が多いため、すぐ室内に移動せずに日陰の風通しの良い場所でしばらく休憩させます。
走水が始まると一段落、2時間おきに茶葉の状態を見極めて攪拌を行う以外仕事がありません。河原に散歩に行って川を眺めていたら、台湾から参加のHさんが突然水着に着替え「水泳」水温は夏でも低いので、この時期はちょっと冷たい以上でした。本人は毎日泳がないと体がなまるそうです。山から竹の子を取ってきてくれたので、夕食に向けて皮をむき下ごしらえの手伝い。台湾では真竹を食用に使い、少し伸びたものの上のほうの柔らかいところを食べます。これがもう少し成長して漬け込み醗酵したものが、ラーメンに使うシナ竹ですね。時間のすごし方は人それぞれ、楽しい時間が過ぎていきます。
走水中は香りのチェックを忘れてはいけません。香りが微妙に変化する様子と茶葉の状態を確認しながら攪拌作業を行います。この香りの変化は棚の上部と下部、出入り口に近い場所と離れた場所など、すべのざるで香りが変わってしまいます。すでにこの時点でざるは18個に減ってしまいました、この作業は深夜まで行われます。このときにびっくりすることがわかりました。茶葉の中になぜか金萱種の茶葉が混入しているのです。茶摘のときに誰かが、金萱種の茶葉を摘んでいたのですね。まあ、これはこれで面白いということでOKです。
今回のお楽しみはこんなことを、、、
お食事タイムはお楽しみの時間、地鶏をローストしてみんなでパクパク。今回はこちらのペースで飲みたいのでビールを1ケース持参しました。さすがにビールには弱い台湾人(笑)、マイペースでのめるかと思ったら次第にエスカレート。とうとう足りなくなって街中まで買いだしに行くことになりました。食後はカラオケが始まり12時過ぎまで大音量でみんなして盛り上がりました。ここで最後の攪拌と走水を行い就寝時間です。私は蘇文松氏に付き合い2時半まで酒盛りしてしまうことになりました。今回も討ち死にか。。。
殺菁・揉捻・乾燥・焙煎・テイスティング
朝食後、走水の終わった茶葉を一気にお茶に仕上げます。まず、殺菁から文松茶師の指導です。殺菁の終わった茶葉は熱々状態で揉捻です。後半組みは天候には恵まれたので楽しみです。
出来上がりの茶葉は試飲をしてみます。香りは上々、少し渋みが残りましたが、金萱種が混ざっていることや、天候を考えると最高のできでした。出来上がりを袋につめ、昼飯をご馳走になった後、蘇茶師とお別れ台北市内へと向かいました。このときに突然にわか雨、この回は本当にラッキーでした。今回もいろいろとお世話になった蘇茶師と家族の皆様、製茶実習に参加してくださった皆様にお礼申し上げます。次回は東方美人茶、そして冬茶へと道は続きます。